岐阜市・長良川で12月のアユを採捕しました!

2022年12月17日午前,気温6℃.岐阜市中を流れる長良川本川にて,長良川漁協の漁師さんの協力を得て,冬のアユを採捕しました.

落ちアユを狙う「瀬張り網漁」は11月30日をもって終了していますが,ガリ漁(引っ掛け釣り)はアユ漁期いっぱいの12月31日までOK.とはいえ,寒いし,アユも痩せてるし,「こんな時期にやったことないなぁ」と名人も言うほど,もはや誰にも気にされていない冬のアユ.そんなマイナーな存在ですが,橋梁付近の緩流部では,小さいながらも数百尾程度の群れをなして泳いでいました.

釣り上げると卵を放出するアユもおり,いまだ細々と産卵が続いていることがうかがえます.たとえば,今日産卵したとすると,孵化は来年1月中旬頃になります.通常1~2週間程度と言われる産卵から孵化までの時間は,あくまで最盛期の秋のこと.今は,水温がとても低いために,孵化まで1ヵ月くらいの時間がかかるのです.

以前,試しに,10月にとれたアユ3尾の耳石を使って日齢査定を行いました(詳細はコチラ).そのうち1尾は,年の明けた1月に孵化した可能性が高かったわけですが,そのアユはちょうど1年前の今頃,この寒い中で細々と産み付けられた卵から生まれたアユだったのでしょう.

実は,1月でも2月でも長良川にアユが残っていることが知られています.もはや産卵もできず,いわば「死期を逃したアユ」.「秋に産卵して死ぬ」というアユの常識は,変異に富むアユの生活史の一部分にすぎないことが分かります.

ちなみに,今日獲ったアユは,9~11月の産卵期を通じて確保してきたアユとともに,「個体レベルの生活履歴」に関する研究に用います!