岐阜新聞に掲載:長良川コクチバス緊急調査報告

昨日(2023年6月21日),岐阜県の協議会で報告した長良川コクチバスの分布調査結果と見解について,岐阜新聞が協議会の内容とともに記事にしてくれました.同時に,岐阜新聞Webyahooニュースにもアップされました.

今のところ,環境DNAで常に検出されるほど多くの数のコクチバスがいるわけではないと考えられます.堰や床止めが少なく河床が攪乱されやすい,また,大ダムもちょっとしかないために雨が降れば素直に増水を繰り返す長良川では,コクチバスが安定して再生産(産卵・孵化)できていない可能性があります.しかし,今はまだ油断せず,まずはより綿密な調査を行い,現状を正確に把握しておく必要があるでしょう.

今後は,より下流側の自然堤防帯にも調査範囲を広げる必要があります.長良川の隣の揖斐川では,根尾川合流点から下流の区間でもコクチバスが生息しています(岐阜県の調査報告).この区間は,濃尾平野の地形区分でいうと,山際から10㎞程度広がる「扇状地」よりも下流の低平な「自然堤防帯(氾濫原)」にあたります.今回長良川で行った緊急調査では,コクチバスが発見・撮影された美濃橋から国道21号までの区間を対象としており,扇状地は含まれますが,自然堤防帯のエリアは含まれていません.

また,yahooニュースのコメントには,関市池尻にコクチバスがいるとの情報もあがっています(今回の緊急調査区間内です).コメント内容からすると,岩場近くの淵ないし深いトロのような場所が想起され,いかにも成魚が泳いでいそうな場所です.あわせて調査する必要があるでしょう.