「つけば漁」を視察しました

2025年5月8日(木),「つけば漁」を視察しました!長野大学に来て初のフィールドです!

「つけば漁」は,上田市を含む近隣市町の千曲川で,産卵期のウグイ(地元ではハヤと言う)を捕獲する伝統漁法であり,全国的にも珍しいものです.観光スポットにもなっている「鯉西のつけば小屋」の大将に漁の様子を見せてもらい,塩焼きと唐揚げを賞味しました.結論から言うと,私の「外道ウグイ」「マズいウグイ」という固定観念は完全に覆りました.雑魚扱いしてきたこれまでの47年間を,猛省いたします!!

つけば漁は,いわば人工産卵床をこしらえて,そこに産卵しようと集まってきたウグイを捕獲する漁法です.卓球の玉程度の砂利を敷いて,撹拌し,フカフカの産卵床をこしらえます.これは,アユの好適な産卵床と同様,川の増水後に砂州前縁部に形成される瀬を模しています.増水がなくても,1回の漁ごとに河床を耕し,常に新鮮な産卵床が維持されるよう,人為的にコントロールするわけです.川の仕組みとウグイの習性を巧みに利用した漁法です.

獲れたウグイは,数日間,川の中の生け簀に入れておきます.いわゆる「ドロ抜き」です.この間に胃や腸の内容物が抜けて,焼いたときに臭みが身につかなくなるわけです.実はこれは,長良川の鏡島における落ちアユの扱い方と同じです.ウグイを美味しくいただくために,アユと同じ丁寧な処理を行うことに,感動しました!ちょっと違う点は,生け簀を「つけば漁」のデバイスである人工産卵床の上流側に置いておくということ.こうすることで,異性の匂いに誘われて集まってくる,と漁師さんは言います.だから,つけば漁は「ウグイのラブホテル」だとも(メディアの前では言わないらしい笑).

その後,川から水揚げしたウグイは,小屋の前においた地下水を利用した生け簀に移されます.これで,さらに臭みが抜けて,冷水で身が引き締まるのでしょう.

最後は,炭火でじっくりと塩焼きに

外道で釣れてしまったからと,仕方なく塩焼きにして,「ウグイはマズい」と思い込む人のなんと多いことか(私もそうでした).アユやウナギと同様,食材として愛をこめれば,美味しくいただけることを学びました.

千曲川では,ウグイを研究したくなりました!!

つけば漁のフィッシング・デバイス

つけば漁で獲れたウグイ

婚姻色の鮮やかなウグイ

美味しく焼かれるウグイ(南無南無)

つけば小屋