アユ環境DNA分析祭り

去る2026年2月16-18日,古巣の岐阜大学でアユの環境DNA分析をしてました.昨年9月から2月にかけて採取したサンプルをひたすら分析です.

目的は,木曽三川(木曽川,長良川,揖斐川)のアユ産卵期間と産卵活動度※1を比較すること.ご存知の通り,長良川の本川にはダムがなく,河口から143㎞地点までアユは遡上することができますし,支流にもある程度のぼれます.一方,木曽川と揖斐川は,濃尾平野から山間に入るとすぐ,アユの遡上を阻むダムが存在します.天然遡上のアユにとって,木曽川と揖斐川の中上流域は到達・利用できないエリアとなっています.

アユの遡上に関するこの三川間の条件の違いが,各川の産卵期間や産卵活動度にどのような影響を与えているのか?皆さんはどう思いますか?つまり,どんな仮説を持ちますか?

私の仮説は単純です.アユが上流まで遡上できて,産卵降河も妨げられない長良川では,産卵期間が長く,産卵活動度(再生産指標)も高い,と考えています.これまでの成果から,長良川の産卵場に集まってくるアユは,最上流域からもダラダラと下りてきて産卵していることが分かってます.つまり,長良川では上流に広く分布できることが産卵期間を長引かせ,子孫を残すチャンスを広げる「ポートフォリオ効果」を発揮しているのだろうと考えているわけです.

木曽川や揖斐川でも,ダム上流にアユを放流しているから,長良川と同じようにダラダラ下りてきて産卵するのでは?そんな鋭いコメントが聞こえてきそうです.

その疑問にも答えられるよう,Sr同位体比を使った分析も同時に行っています.この分析は,産卵場に集まってきたアユの耳石から,そのアユがどこで成長したのかを個体ごとに突き止める分析です.海での生活経験があるかどうかも当然わかります.長良川の産卵親魚については,コチラで発表済みです!今回新たに,木曽川と揖斐川の産卵集団についても丸裸にしちゃいます

それでは,結果については乞うご期待!

※1 仮に,産卵親魚・卵・孵化仔魚などの総量くらいの意味.専門用語ではありません.”再生産指標”とか言った方がいいかも.環境DNAでは,これらの区別がつかないので,総量を捉えていると前提しています.