川の水温を計測するために,ONSET社が提供するHOBO MX ペンダントロガーを多用しています.水中に沈めておくだけで,好きな時間間隔で,自動で水温を記録してくれます.Bluetoothワイヤレス接続対応なので,記録方法の設定やデータ回収は,スマートフォン(HOBOアプリ)を使って行えます.ですので,現場でデータ回収し,アプリ上ですぐにデータを確認,その場で再設定して,計測を再開することも可能です.データは,アプリからスマホのメール等を経由して送信できます.とにかく,便利な代物です.しかも比較的安価(8000~9000円:円安で高くなりました).

2020年から,長良川流域のあちこちに,この水温ロガーを設置しています.ちなみに,上の現場写真は,湧水豊富な神崎川のロガー設置箇所です.ロガーはボタン電池(CR2032)で動いています.数か月も稼働させると,水温計には藻類などが付着して無残な姿になるのですが,故障しない限りは電池を交換して使い続けることができます.しかし,それが面倒くさくて,あるいは,やり方が分からないから,1回切りでロガーを捨ててしまう人もいるとか,いないとか(最初,私がそうでした...反省).ということで,ここに,電池交換のやり方をご紹介します.

実はコレ,データ回収する上でも物凄く重要です.

なぜなら,久しぶりにデータ回収に行ってみると,水中から取り上げたロガーが停止しており,データ回収ができない,なんてことが多々あります.そんなとき,実は電池交換すれば,停止するまでに記録されたデータを回収できることが多いのです.それこそ,業者にデータ回収を依頼すると,時間もお金もかかっちゃいますので,とてももったいない.業者に依頼するのは,電池交換してもデータ回収できないときです.

それでは,計測を終えた水温ロガーに登場いただきましょう!以下の写真は,2022年11月から翌年7月までの半年強を乗り切ったロガーです.あまりに汚れていたので,すでに洗ってあります.

まずは,ペンチなどで裏蓋(黒いパーツ)を外します.よく見ると裏蓋に2つの矢印が見えます.裏蓋の凹み部分と,本体ケースの突起部分が重なるところまで,矢印の方向に裏蓋を回し,裏蓋が引っかからなくなったところで外します.なんでこんなに外しにくいんだ!と憤りを覚えるはずです.そこは,あまり細かいことを気にしない国の製品ですので,我慢するしかありません...だんだん慣れて(麻痺して)きます.ちなみに,裏蓋と本体ケースの間にも汚れ(藻類や細流土砂)が溜まっていますので,よく拭き取ってください.

次に,電池を取り外します.中はとってもシンプルな構造です.電子基盤の上にデンッと電池が乗っかっています.電池を押さえている2つのプラスチック突起と電池の間に,自身の爪を繊細かつ強引に突っ込んで電池を外します(厳密には突起を避けて爪を突っ込みます).ここでまたもや,なんでこんなに外しにくいんだ!と激しい憤りを覚えるはずです.しかも,慣れてないと(いや,慣れていても),電池を押さえている突起がよく折れます(めちゃ脆いです).細かいことを気にしないお国柄の出身ですので,諦めるしかありません.突起を折らずに電池を外せるようになったら,プロ認定です.

さて,裏蓋を見てください.こちらにも汚れが溜まってますので拭き取ります.パッキンを外して,パッキンと溝の汚れを拭き取ります.汚れは水漏れの原因となるので,綺麗に拭き取ります.

綺麗になったパッキンにグリースを塗ります.用途別に様々な種類のグリースが売られていますが,「水漏れ防止」などと書かれたグリースを使えばよいでしょう.グリースを塗ったら,パッキンを裏蓋に再装着します.

電池(CR2032)を入れて,裏蓋を閉じたら完了です.蓋を閉じるとき,中の空気に蓋が押し返される感じがあれば,しっかりグリースが効いている証拠です.指の力で押し付けて,開けたときと逆の方向に回して閉じましょう.開けるときはペンチが必要でしたが,閉じるときは指を押し当てて回せます.

実際には,1個1個やるのではなく,複数個まとめて作業していきます.これで,次の計測への準備完了です!